[コメント] ジョン・ウィック:チャプター2(2017/米)
本作は、ストーメアがラスボスかと期待したのだが、彼がすぐに退場してしまって残念。しかし、序盤から、ウィックの妻のフラッシュバックが多用されるのは、私の好みじゃない。
本作の敵役は、ウィック−キアヌ・リーヴスとの「血の誓印」を盾に取るサンティーノ−リッカルド・スカマルチョ。こゝにきて、組織の構造(主席たちを頂点とするピラミッド)と渡世の義理のような、日本のヤクザの世界のようなルールが(ちょっと違うか)、徐々に明らかになって来る。舞台もニューヨークからローマへと展開され、国際色が豊かになる。また、ウィックのアクションシーンが、絶対に負けない、途切れない殺戮の持久走のようになっていく。
特記すべきシーンをあげておこう。まずは、ローマ・コンチネンタルホテルのフランコ・ネロ登場後、テイラー(仕立て屋)とソムリエと地図屋をクロスカッティングで見せる繋ぎの子気味良さ。カラカラ浴場なのか、サンティーノの姉のジアナ−クラウディア・ジェリーニが服を脱いで風呂に入るシーン。彼女が浴槽の中で赤い服を着たように見えるショットは凄い。また、ジアナの部下のカシアン−コモンの強さもいいところまでいっていると思う。ローマの街での階段落ちシーンがある。他にも、サンティーノの部下で、手話を使う女殺し屋アレス−ルビー・ローズの存在も悪くないのだが、こういった悪役の活躍を(退場シーン含めて)イマイチ見せ切らないのは演出の責任だろう。
あと、美術館内での銃撃、殺戮シーンで、美術品は決して汚さない演出の徹底と、鏡とモニター(アブストラクトなデジタルサイネージ)の部屋の活用が楽しい。そして観客にとって、もう勝ち続けるのが当り前になってしまうウィックが、敵をどう倒すかよりも、敵の武器をどう奪うか、みたいなところが見どころになる点も、本シリーズの新しさだと思う。それと、本作から、女性たちが働く組織−アカウント部が出て来るが、古いモニターやキーボードにこだわった美術装置がいい。
#ビルの壁へ投影されている映画は『キートンの探偵学入門』。
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