[コメント] 湖中の女(1947/米)
メインのストーリラインは主人公フィリップ・マーロウ(ロバート・モンゴメリーの自演)の見た目のショットだけで構成されている映画。探偵事務所のマーロウが解説、回想しながら進行するという趣向で、回想シーンはすべてマーロウの主観ショットなのだ。
ただし鏡の多用で何度かモンゴメリーも画面に映る。当然ながら登場人物がマーロウに話しかけるときは、対面してカメラに向かって喋る。最初にヒロインのオードリー・トッターが登場したあたりまでは、小津みたいだと思って面白がって見ていたが、これも当然ながらシーンが切れるまでは、繋ぎもない訳で、正直飽きてくる。矢張り、映画には切り返しやアクション繋ぎが必要なのだ。或いは溝口やアンゲロプロスのように客観ショットの強度を高めるかなのだ。そんな中で後半の夜のカーチェイスシーンには驚いた。ライトで照らされた狭い視野も相俟って、面白い効果が出ている。車が横転する際の見た目の表現など。
尚、主観ショットの実験失敗という観点を離れても、モンゴメリーの科白回しは、ちょっと傲岸過ぎるし、女優2人、オードリー・トッター、ジェーン・メドウズをはじめ、多くの人物のリアクションが大げさというか嫌らしい。
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