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[コメント] 関ヶ原(2017/日)

実は、けっこう感動した。私は、原田眞人が描こうとしている侠気のようなもの、あるいはその描き方が、もともと好きなのだとあらためて認識した。
ゑぎ

 例えば伊賀者の初芽を演じる有村架純を、もっとしごいて、もっと凄みのあるキャラに仕立て上げていれば、と思いながらも、まぁこゝまで達成していれば、やろうとしたこと、やりたかったことは伝わってくるワケで、それをオモンパカって、感動してしまっている、というようなことだ。

 あとは、この合戦シーンも満足感がある。山のディゾルブ繋ぎ。宇喜多対黒田の白兵戦。赤い母衣(ほろ)と黒い母衣の対比。小さなズームインは必要最小限にとどめられており、ドローン俯瞰が効果的に使われる。島左近が刺されるカットのスローモーション。やぐらが爆破されるカットも見事じゃないか。

 助演では、役所広司−家康が破格の存在感だが、平岳大−島左近、東出昌大−小早川秀秋の二人がその後に続く。伊藤歩−阿茶(家康の側室)も面白い存在だが、中途半端な描き方だ。石田三成と初芽との関係に、対比するところまで描きたかったように思えるのだが、そこまでいっていないからだ。

 プロットの取捨選択について云えば、冒頭、原作者の子供の頃をワンシーン挿む等という意味不明の措置もあるが、三成と家康の関係、三成と小早川との関係におけるプロット選択は、特に終盤(関ケ原とその後)、明晰だと思った。

 あと、本作の科白についてネガティブなコメントをよく見かけるが(スピードや方言の多用)、少なくも私に関しては、多少聞き取れなくても、映画は画を見るものなので、ほゞ面白さを毀損しなかった。聞こえ方のレベルは人それぞれだと思いますが。

(評価:★3)

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