[コメント] 南瓜とマヨネーズ(2017/日)
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序盤は大して面白くない。男を鋳型に嵌める女と抵抗する男という物語はありふれている。男がミュージシャンなら心の振幅も拡大されるのだろうという面白味はあるにしても。
これがオダギリジョー登場で俄然面白くなる。中世なら悪魔と呼ばれたであろう彼の秀逸な造形もさることながら、臼田あさ美の視野狭窄が彼によって箆棒に拡大されるのに妙味がある。
子供の頃、妹の少女漫画盗み読みしたものだったのだが、ダメな美男子への溺愛からいかに心を離すか、という主題の漫画が多かったのを思い出した。年頃の女子にとっては切実な問題だろう。本作も少女漫画原作らしいけど、このバリエーションだ。もう若くはない臼田にとってはさらに切実に違いない。
しかし、この恋愛ジャンキーの末路としては収束は微温的。女子が求めているのはこの微温さなのだろうが、私にはインパクトがなかった。我が儘な太賀が成長しているのもありきたりだ。大人が類型的なエロ親爺2人しか出てこない物語はよく云えば限定的、悪く云えば閉鎖的。若い連中がぐうたらでも生活できるのは何かに護られているからに違いなく、『浮雲』の絶望からは遠い。インパクト弱いのは時代のせいだろうと思った。
次のシークエンスの物音が前のカットの終わりに鳴り始める音響の手法は、昔の二時間ドラマ辺りで頻発されたもので、懐かしくも古臭くもある。マイクスタンドの回想などはベタでいけない。撮影は最初の棚落下と最後の太賀の別れ(信号渡るかと思いきや歩道を去って行く)だけは才覚を感じた。
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