[コメント] スイス・アーミー・マン(2016/スウェーデン=米)
手に入れた十徳ナイフで人生をリハビリする弱者男性のなんJ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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切り開いたのは住宅街の裏山だが、男性にとってはジャングルに匹敵するような恐ろしさだっただろう。そんな主人公を物語にしようとする視点の優しさ、寄り添う姿勢に共感する。やわなファンタジーに感じる部分もあるが、「エブエブ」でも感じたように、それだけ弱者の置かれた立場が切迫で、その度合が日本にいる自分にはわからないくらい、日本の何倍もきっと高いのだろう。そりゃ日本よりもさらに弱肉強食、マチズモな世界だろうから。
ラストでの主人公の行為がすべて妄想だったと思わせ、それに対し、主人公の父親、片思いの女性とその夫、警察官たち(社会規範の代表)から浴びせられるドン引きな視線が悲しいが、これこそ監督が一番描きたかった現実なのだろうと思う。この他者からの憐みと軽蔑こそがわが人生だ、と。
最後に主人公が踏み出した一歩が、想像ごとではなく現実のことだったことを謳いあげるスイスアーミーマンの笑顔が決まっている。
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