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[コメント] スイス・アーミー・マン(2016/スウェーデン=米)

結構面白いしちょっと感動もするんだけどさ
アブサン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







オープニングからラストまですべて妄想、ってことだよね。

せっかく、動く死体との友情、それもポール・ダノダニエル・ラドクリフっていう配役が面白いだけに、これはちょっと嫌だなあ。

最初の髭面からして二、三ヶ月は経ってそう(メッセージに64日?という数字も見える)なのに、スマホは充電が残ってる、ラストで都合よくサラの家にたどり着く、何日もかけた行程を熊に襲われて折れた脚で普通に歩いて戻る、それを警察も止められないということは、露骨にそういう表明をしているのだが、妄想オチにしなきゃいけない大人の事情とかがあるんだろうか。

死体を見つけたところから話が始まるとかローラ・ダーンとかあの郊外の小奇麗な住宅は、デヴィッド・リンチを意識してるということにも思える。

セリフにもある通り首吊り際の走馬灯かとも思ったけど、冒頭から、漂流したにしては無駄に遊び心のある救難メッセージだし、無人島で数か月も保つなんて食料ありすぎだしでやっぱり最初から最後まで妄想っぽい。遭難すらしてなくて、唐突にイメージ映像が出てきたあの交通事故で死んだのか、もしくは死んですらいないのか。

森でストーカー生活をしてて見つけたダニエル・ラドクリフの死体で遊んで逮捕されたのと、周りがドン引きしてたのだけが本当という線もあるか。救急車の中で飲んでる紙パックジュースが恐らく冒頭の救難メッセージと同じものだし、そこが境界線かも。社会生命が終わるときに見た走馬灯、という。

しかし妄想だったからといってメッセージが深まる内容かというと、そこが微妙なのだ。全部実際あったことにした方が潔い馬鹿馬鹿しさで感動も強かったと思うが。

こういう「妄想ものが気が利いてる」みたいな風潮、なくなってくれねえかな。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)おーい粗茶[*]

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