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[コメント] トマホーク ガンマンvs食人族(2015/米)

ブルータル・ジャスティス』から逆走して観た。穴居人はネイティヴ・アメリカンとは峻別して提示されるが、「白塗りの黒人が白人を駆逐する」という『ブルータル〜』のモチーフを踏まえると、やはりここでも登場する黒い肌を白く塗った未開のモンスターのイメージには監督の強迫観念的なものがあるのかなと思う。
DSCH

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それはともかくとして、不可逆的な予感が高まる旅路の長さは、時間を定着させているという意味でもいいと思う。足の怪我とかラブレター、雑談などでキャラクターを豊かにしたりするあたりや、暴力描写の唐突さ、カッティングのキレはやはりタランティーノ・フォロワーであることがはっきり分かるし、二番煎じでなく面白いと思う。「屠殺」には閉口したが、ウィスキー・ボトルの埋め込みは、その行為のわけの分からなさが一周してギャグにすら至っており、突き抜けた暴力の恐怖と笑いの親和性が高いことを教えてくれる。

町の名前が「ブライト・ホープ」というのは、この監督らしいブラックさ。顛末は意外にストレートなラスト・ミニッツ・レスキューだが、未開・未知の暴力はまだ世界に潜んでいることを予感させるラストで、独特の余韻がある。また、事の始まりは白人の野蛮であったわけでもあり、穴居人の野蛮は「文明社会」の隠された野蛮の合わせ鏡、と好意的に見るべきか、どうか。

で、カート・ラッセルがやはり良い。瀕死の重症で息も絶え絶えの話し方が胸に迫るものがある。補佐官のリチャード・ジェンキンスの「ノミのサーカス」のくだりもとてもいいですね。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ゑぎ[*]

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