[コメント] タクシー運転手 約束は海を越えて(2017/韓国)
「息子」の言によればいくつかの事実は異なり、描写の公平性はバランスを欠く。終盤の暴走でもいったん「うーん」と腕組みをしてしまったし、虐殺描写時のスローも好ましい演出には思えない。だが、作品の全体を見渡せば些細なことのように思える。それぐらい、目で見て伝えることの困難さ、崇高さや、小さな力のバトンを繋いでいくことに寄せる思いの強さを娯楽で伝えようとする気概に打たれた。いい映画だと思いました。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ソン・ガンホはいつもながら最高だけれど、対比的に抑制の効いたヒンツペーター役のトーマス・クレッチマンの演技が良かった。頬を戦慄かせながら決意を込めてカメラを構えるシーンで涙が出てしまいました。こういう人達をハイエナとか捕まったら自己責任とか吐かす輩って、心底恥ずかしい、性根が腐ってると思います。
細かいところで印象に残ったのは、検問所で主人公二人を見逃す将校の描写。こういう静かな良心の積み重ねが世界を変えるんだろうな。余談ですが、トーマス・クレッチマンは『戦場のピアニスト』のホーゼンフェルト役です。今度は逃がされる役ですが、ちょっと相似した点が認められますね。
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