[コメント] アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル(2017/米)
マーゴット・ロビーのスケートシーン、彼女が本当に演じているように見せる技術(CG及びボディ・ダブルとの調和)には驚かされるが、ほとんどそれだけの映画じゃないか。というのは云い過ぎだが、
スクエアな小さな画面でインタビューを繋ぐ構成や、劇中で人物がカメラ目線になって、観客に向かって独白する、といったメタな演出は私の好みじゃないのです。
例えば、母親役のアリソン・ジャネイの造型は確かに秀逸だと思うけれど、後半、彼女の出番が少なくなり、ちょっと寂しいなと思っていると、突然「私の話が出てこないんだけど」と云うカメラ目線モノローグが入る。これって、ウケる観客も多いとは思うが、私は本筋のテンションの持続を妨げていると思うのだ。
さて、もう少し役者の話を続けると、トーニャの幼少期を演じるマッケナ・グレイスがやっぱりメチャ可愛い。ロビーにリレーキャストして15歳、という部分には、かなりの違和感があった。あと、ショーン役のポール・ウォルター・ハウザーの造型もケッサク。本作でもジョン・ベルーシみたい、と思いながら見た。この後、イーストウッド映画の主演に抜擢されるのも納得できる。
あと、カメラワークで特筆すべきは、矢張りスケートシーンということになるが、中でも、初めてトリプルアクセルを跳んだ競技会のシーンは特に凝っている。まず、リンクに出て静止した際に、仰角から真俯瞰へカメラが移動するショットに驚かされた。また、それ以上に驚いたのが、ロビーの「離婚した」と云うモノローグから、屋内を後退移動(及びパン)し続け、ワンカット内で3回、違う服のジェフ−セバスチャン・スタンを登場させるCGショット。家を出てそのまゝカメラは道を高速で後退移動するところまで見せるというシーケンスショット。ちょっとパラノイアックな演出だと思う。この監督も移動大好きだ。
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