[コメント] 空飛ぶタイヤ(2018/日)
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運送会社で脱輪事故。タイヤが飛ぶCGはコメディのようでシリアスな主題に沿っていないが、それはともかく、経験から申せば、原因がどうであれ、タイヤが外れる前はガラガラ音がするものだろう。どうなんだろうと思う。
序盤、社長の長瀬智也に被害者遺族や警察担当や自動車会社や取引先や取引銀行や息子の同級生から、これ以上ないような冷遇が飛んでくる描写が延々続く。それは日本らしい弱者叩きの風潮への告発の意図もあるのだろうが、いかにもやり過ぎで、奨励しているようにすら見えてくる。遺族が49日に(刑が確定もしていない)長瀬らを門前払いしたうえで「あんたたちそれでも人間ですか」と罵倒する件など見ていられない。被害者ならこの程度はキレてもいいんだよとラインを説明しているかのようだ(さらに対応不満による1憶5千万請求の訴状まで届く)。こういう、悪役は底無しに悪役に仕立てていいという文法が今世紀の邦画には多過ぎると常々思う。
面白くなるのは、ここから財閥系の自動車会社のリコール隠しを、最初はイヤミ君だった販売部課長のディーン・フジオカが中間的人物として内部から暴き始める展開で、無断アクセスなど怪しいことを構わず実行、「娘が小学校に入学するんだ」と保身に走る同僚に「結婚なんかするからだ。ご祝儀返せ」という科白が穿っていた。社内の有象無象のイヤミ君たちも酷い造形ばかりだが、怪しい常務の岸部一徳の複雑怪奇さは振り切れていて好ましく、品質保証部は打ち抜き監査で業務時間内にパソコン調べさせ、目星つけた告発者を左遷させる一方、フジオカは責めるな社外リークするぞと人事通じて飴差し出すなんてのはさもありなんと思わせる。栄転先で窓際業務させてフジオカを怒らせるのは上手の手から水が漏れたようなものか。
問題視する同僚の存在とか動く週刊誌(没になり広告宣伝費絡みと噂される)とかの事情は偶然で弱いが、そんなことでもないともみ消し完了なのだろう。週刊誌記者小池栄子から渡された被害者リストを巡り歩いて新車なのに整備不良という胡散臭い自動車会社の調査報告を探り当て、フジオカがリークした裏会議のデータ警察に渡して刑事の寺脇康文(類型的な刑事像は笑う)が動くという大団円。イジメた銀行は裁断され、遺族は土下座する。三菱自動車によるリコール隠し事件などが物語の下敷の由。
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