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[コメント] 志乃ちゃんは自分の名前が言えない(2017/日)

醜いところから始まり、醜いままで終わる。大切なのは触れ合いごっこではなく、醜い自分を認めることなのだ。お調子者で、プライドのお化けで、友情と愛情の区別がつかないゆえに理解者の友人に嫉妬し、言わばただの子供である少年少女。彼らに美しい結末など恵んでやらなくていい。ただ言え、ひとりの人間として生きろと!
水那岐

三人を一括りにしているのは、字数制限からではない。志乃もまた菊地の同類だというのは「お〇んちん」などと茶目っ気を出して初対面の女を笑わそうとするし、一人で友人と弁当を食べるときの友人とのシミュレーションを聴けば、彼女が慎ましい少女などでないのは丸わかりだからだ。彼女はたぶん、心に傷を負うまえは菊地のように、目立つためには下ネタを口にし、友人にワガママもいう少女だったのだ。べつに攻撃されるべき存在ではないが、庇護されるべき弱者でもない、ということだ。そしてもちろん、相方も相当な屈辱から逃げるために無愛想になった同類だ。

ゆえに、感動的なラストが用意されていなかったことで俺はホッとした。普通のお調子者が傷ついて寡黙になったのに同情など必要ない。彼らは助けを用意されるべき弱者ではない。この俺と同じように。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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