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[コメント] 生きてるだけで、愛。(2018/日)

鬱、躁、過眠症の奇矯な言動とか全裸に翻弄されて、本作をどう観たらよいかと迷ったが、‘1つの愛の物語’として捉えればよいと、思い至った。
KEI

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







1つの愛の始まりと終わりだ。

本作の評価は大きく分かれると思う。評価が高い人は、寧子の言動が少しでもわかるor共感出来る(特に躁うつ病でなくとも)人で、その言動が生理的に受け付けない人の評価は最初から低くなるのではないかと、心配する。

ただ寧子に関してはそうだが、映画は原作ではあまり語られない津奈木の仕事に触れ、大きなエピソードを用意した。これによって下記に述べる別れに対して、観客はより理解が出来るようになっている。このエピソードは見事だ。

1つの愛の始まりと終わり。

愛の始まりは千差万別で、とにかく互いに「いいなぁ」で始まるのだと思う。が、終わりは2人が自分の本質に目覚めた時に起こる、と作者は言う。

寧子は、分かりあえた一瞬が有れば生きていける、と言うが津奈木は、一歩前に進み始めた自分には、もう寧子を受け入れる余裕がないと思うのだ。

3年間の終止符。愛の終わりはいつも哀しくて、私はあまり好きではない。

役者について。意地悪な言い方をすれば、趣里はある意味美味しい役だったといえる。尤も、熱演は否定しない。菅田起用には反対意見が出たかもしれないが、彼の実力は認めざるを得ないだろう。仲が中々(寒い!)良かった。こんなに出来る人とは思わななかった(ホント!)。

あと2つ。触れておく。 映画では無視されたが、何故手袋をさせたかという点。原作には詳しく書かれている、「本当だ。何これ。あったかいわ。すごいね、寧子。(原文通り)」と言って欲しかったのだ。これはよく分かる!

もう1つ。ラストで原文では、追っかけて来た安堂がチャイムを鳴らすのだ。それもしつこく、しつこく。その中で2人のやり取りが有る。映画の踊りは、音楽も付けて悪くはないと思うが、原作の方がスパッと切れて、返って余韻を残した。凄く好いと思う(申し訳ないけど、すみません)。

(評価:★5)

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