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[コメント] 恋をしましょう(1960/米)

抜群の安定感とダイナミックさの混在。絶妙のカッティング・イン・アクション。複数台カメラによるマルチ撮影・編集はジョージ・キューカー演出の特徴だが、この映画では殆ど完璧と言って良いぐらい決まっている。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 例えばフレッド・アステアのダンス・シーンであれば、カットを割らずに引いて撮るだけで充分強い画となるわけだが、マリリン・モンローのような動きの鈍い役者のミュージカル・シーンとして、このカッティング・イン・アクションは動的な画面を創出する上で絶妙の効果を上げている。

 また、イヴ・モンタンマリリン・モンローフランキー・ヴォーガンの様子を見ながら嫉妬するシーンが何度も出てくるが、モンタンの視線の演技・演出で画面に映画の感情を定着させていくキューカーの演出術は本当に見事だ。

 この映画のモンローも不自然なぐらい男に都合の良い「可愛い女」のキャラクターを演じさせられているのだが、全く嫌味にならないところがモンローの素晴らしさ。本当に可愛いと思う。また、確かにモンローの本心がどこにあるのかよく判らない内にモンタンと結ばれてしまう、モンローがモンタンに思いを寄せる納得性がイマイチ、という展開上の弱さはあるのだが、スター映画として二人が結ばれることは必然の帰結なのだから、野暮なことを云わずに演技・演出を楽しめば良いだろう。

 ミルトン・バールビング・クロスビージーン・ケリーという大御所3人がカメオ出演しているモンタンへの教育シーンも実に楽しい。

(評価:★4)

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