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[コメント] 月曜日のユカ(1964/日)

当時観たら鼻についたかもしれないが、今観ると斬新で、むしろ感心すらする。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







1964(昭和39)年に制作された本作は、4、5年前に起きたヌーヴェル・バーグを充分に意識(真似)し、市川崑が1961年に放った『黒い十人の女』をさらに進化させたフランス映画風・和製「女はワカラン」映画と言えよう。

主人公・ユカよりも奔放な中平康の演出は、あらゆる技法もさることながら、加賀まりこのとらえ方が実にヌーヴェル・バーグのミューズ風である。 冒頭の「コーヒー色の肌」のピロートークは『軽蔑』のBBを、男二人の間で揺れる終盤は『ジュールとジム』のジャンヌ・モローまでをも彷彿とさせる。

おそらく、戦後、外人相手の娼婦をしていた母親の下に産まれたと思われるユカ(戦後19年目の作品で18歳という設定)。 彼女は“父の愛”を知らないのだろう。 愛されることを知らない彼女は、神への愛と異性への愛の区別も曖昧で、己の愛情の表現方法すら解らず、持て余しているようにさえ見える。

凌辱されて唇を拭いながら見るドーンとでっかいアメリカ商船は、戦後日本の“今”(<当時の)をも思い起こさせる。 そう、ユカこそ戦後日本の落とし子なのに違いない。

こうした描写に、単なる「風俗映画」に終わらない、当時の“邦画”制作者達の気概が感じられて感心する。

余談

企画に水の江滝子の名があり(つーか、脚本倉本聰だったのかい)、これはあくまで推測だが、水の江滝子自身の愛人実体験が話のベースではなかろうか。ちなみに水の江滝子のパトロンは自殺しているそうだ。

(評価:★4)

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