[コメント] スタリー・アイズ(原題)(2014/米=ベルギー)
虚栄の都ハリウッドで堕落させられる女優のcautionary taleとしては、後年の『ネオンデーモン』もずっとストレートで迷いがない。またわけがわからん秘密結社ネタが絡むのだが、<敷居>を超えるオーディションの場面でのフラッシュの連射の合間に深まる闇から今にも魔物が出てきそうな気配とか(カーペンター風に)、ヒロインが心身ともに壊れてゆく過程の黏稠性とか(ちょっとアジャーニっぽい)、脳裡に記銘される場面も少なくない
アリ地獄のごときファーストフード店の気鬱な日常。映画業界周辺で一生日の目を見なさそうな負け組たちとの切っても切れない腐れ縁。そんな戯画すれすれの描写も、ヒロインの今にも罅割れそうなガラス細工の仮面と下積み暮らしの欝憤が積もりに積もった一触即発の内面とが楔となって、一捻りも二捻り入れられた通過儀礼の終わりに、不条理なまでに暴力過剰な真正スプラッターに昇華させられる。殺戮の嵐のなかで倫理も論理も吹き飛ばしてしまう疑いの虎、狡猾の蛇、搾取の悪夢、身体変容の不安、吐しゃ物と精液と血糊による聖別化、つまり、それは我らの時代の共喰いと新生願望の風景にほかならない。
7.5/10
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。