[コメント] 金子文子と朴烈(2017/韓国)
シリアスに嵌め込まれたベタな韓流コメディがアナキストの矜持を語り、チェ・ヒソの女は愛敬が出色なのだが、取調室と内閣閣議室を往復するだけのキャメラなど平凡。いい映画とは云いかねる。しかし内容はとびきり刺戟的。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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『空と風と星の詩人』同様、映画は詰まらないが、しかし題材はとても面白く、蒙を啓かれる作品である。
法廷闘争の物語で、大正時代の天皇制がボロカスにやっつけられる内容であり、私など全部正しいと思うし痛快である。これを反日呼ばわりする日本人がいるのが不思議だ。スターリン時代のソ連と自己同一化するロシア人みたいなもので、日帝にシンパサイズする必要のある商売でもしている人たちなのだろう。
関東大震災時の対朝鮮人暴動は殆ど民間由来というのがこれまでの見識だと理解していた(昔の岩波新書でもそう述べられていた記憶がある)のだが、官憲由来という最近の知見があるらしい(そうでなければ銃など準備できる訳がない等)。本作も後者を支持している。ここは肝心の処で、個人的には保留、ちょっと勉強し直したい。
小森白の『大虐殺』(60)が思い出された。大逆事件を扱い、関東大震災の朝鮮人虐殺を背景にアナキストの天知茂が暗躍する話。本作の登場人物たちと接点があったのだろうか。
冒頭からチェ・ヒソはアナキストとして出来上がっており、何が彼女をそうさせるのか、映画だけではまるで判らない。金子文子の書籍が売れているらしいが、この動機を確認したくて鑑賞後の客が求めるに違いない。私も読んでみたいと思う。
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