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[コメント] 奇傑パンチョ(1934/米)

メキシコ革命を簡潔に描いて啓蒙的。軍人の政治への関わり方の理想像として説得力があり、娯楽映画にしていろいろ考えさせられる秀作。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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インパクトがあるのは、ヴィラが革命成就の後故郷に帰って銀行強盗して銀行員をあっさり殺しちゃう件と、再革命後に大統領の椅子に座って予算がないと云われて紙幣を大量に印刷しちゃう件。パンチョは戦争以外何もできない人物で、彼の才覚はただ、フランシスコ・マデロ(ヘンリー・B・ウォルソール)との尊敬の関係を結べたことに尽きるのだ、と映画は語っている。政治は優秀な軍人を必要とする局面がある。

それと、例えば日本史にはなぜ、こういう竹を割ったような民衆成功の事例がないのだろう、という比較にも誘われる。いろいろ考えさせられる映画だ。

演出は30年代らしいフツーさで、撮影美術も心躍るほどではないが、終盤の再革命の件だけはとてもいい。物量投入もここに集中されている。「VILLA WANTS YOU!」の字幕連発と掻き集められる武器のショットには的確なサイレント回帰があり、当時のソ連映画からの影響も見られると思うがどうだろう。

メキシコ国内でもパンチョ・ヴィラの再評価は60年代とのことらしく、本作は娯楽映画が史実を掬いあげた優秀な事例と思われる。ウォーレス・ビアリー好演。ヴェニスで男優賞取っているが当然だろう。牛が好きで鳩嫌いというギャグは何だったのだろうか。

(評価:★4)

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