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[コメント] バースデー・ワンダーランド(2019/日)

世界観のトータルデザイナーは良いセンスで、今までの原恵一作品とは一線を画すものとの意気込みを感じたのだが、実際は「クレヨンしんちゃん」冒険譚の語り直しでしかない。せめて変奏曲と為すなら、監督お得意のギャグ演技をハイセンス人物に応用するテストは行われるべきだ。デフォルメ演技は児童映画にあっては重要な魅力付けだろうに。
水那岐

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ともかくも視聴客をどれくらいと考えているのだろう。およそ低年齢層にアピールするとは思えないダサいタイトルはともかく、ストーリーの構成も子供の胸躍る冒険物語とは程遠い。冒険譚を冷めたキャラであるヒロインはいつまで経っても牽引せず、はっちゃけた叔母と笑わせキャラである錬金術師の掛け合い漫才が延々と続く。宿敵の怪人はなんということもない小物であり、ヒロインの憐憫の情をこめた語りかけでそうそうに善意の弱虫に戻る体たらく。背景美術の頑張りにおんぶにだっこされていなければ、作品としてはひどく貧弱なものに堕していたろう。かような作品を「自信作です」と胸を張って出されても、困惑の二字を明らかにするしか仕様がない。ギャグメイカーを必要とするなら、ひとりではとても続くものではないのだ。能動的に動く主人公を用意すべきではないのだろうか。今にして思えば、クレしんの演出が生きたのは主人公の破天荒なキャラクターゆえと思えてならない。これは監督が好評にあぐらをかいた作品であり、惰性の産物だ。

(評価:★2)

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