[コメント] ある女優の不在(2018/イラン)
40年前、革命以前のイラン女性は欧米と変らぬミニスカートをはいていた。その後の40年を日常として受け入れている人気女優と、いまの時代の息苦しさを生理的に拒絶する女優志望の女は、ミニスカートをはく奪された、かつてのスター女優の悲劇と気丈に覚醒する。
女の生きざまを体現してみせるのが「女優」という職業だろう。ジャファール・パナヒは、そんな彼女たちのパッションに託して、40年の時の流れとともに日常という“慣れ”のなかに埋もれてしまった「行動する意志」をあぶり出す。行動の原動力は、人権を無視された「屈辱」であり、生き方を制限された「閉塞」であり、因習として頭をもたげる「矛盾」だ。
ただし、男であり、自らの責任も自覚するジャファール・パナヒは、そんな三人の女たちの行動を傍観しながら、それでも希望を見い出し、創作の自由を奪われた自分の身の上を重ねるように、静かに寄り添おうとしているようだ。
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