[コメント] マジェスティック(1974/米)
リチャード・H・クラインの撮影は全編端正だが、特に、パンニングしながらのズーミングがとても気持ちのいい、見ていて快くなるスムーズなカメラワークだ。これみよがしな嫌らしいズームアップはワンカットもない。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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一見、70年代らしい緩いアクション映画に見えるかも知れないが、全く普通じゃない、ぶっ飛んだ傑作だと思う。前半から予想を裏切り続ける展開だが、何と云っても、黄色いフォードのピックアップトラックで窮地を脱する場面からが、あっけにとられる画面の連続だ。チャールズ・ブロンソンを荷台に乗せ、リンダ・クリスタルが運転する、このチェイスシーンでの、トラックが荒地を走るさまは、まるで、トラックがダンスをしているようで、これぞ正真正銘のカー・チェイス・ミュージカルじゃないか。
確かに、この時代の活劇らしくヒーローのブロンソンが無自覚に強過ぎる(イーストウッドのように痛めつけられたりはしない)のだが、しかし、敵役のアル・レッティエリらも尋常じゃないキャラクタリゼーションだ。ヒロインの扱いについても大きく予想を裏切られる。つまり、クリスタルが襲われたり、人質に取られたりするのだろうと思いながら見ていたが、全く彼女が危険にさらされることがない。レッティエリの情婦であるリー・パーセルを含めて、女優陣をからめたスリルは描かないのだ。その代りにクリスタルもパーセルも全く毅然とした造型だ。こんな形でアクション映画を成立させてしまっている非凡さにも感嘆する。
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