[コメント] 二重結婚者(1953/米)
この映画、全般的に屋内よりも屋外の描写に独創性がある。サンフランシスコの路上で、エドマンド・グウェンを手前に配置して、その背景にかなり急な坂道の斜面と、さらに向こうのビルを映すカットだとか。最初に出てきた時にも目を引いたが、この構図を反復するのだから、ワザとやっているのだ。
或いは、ビルの外観のティルトアップなんかも、何てことのないカットなのだが、妙に目に留まるし、違う云い方をすると、映画のリズムを形成している。また、屋内だと、アイダ・ルピノのアパートの階段はいい。こゝも何度も反復するが、全て階段下から仰角で撮った同じ構図のカットばかりなのだ。階段上から俯瞰で切り返したりしない、というところが、上で書いたグウェンの路上のカットと同様に、拘った演出に思えてくる。もしかしたら、真実は、カメラを置くことのできる場所がこゝしかなかったから、なのかも知れないが。でも、良いカットの反復なのだから、監督の功績ということでしょう。あと、エドモンド・オブライエンとジョーン・フォンテインが暮らす家の中のカットでも、バルコニーから玄関までを縦構図で表現した良いカットがある。(でもこの家の東洋趣味のクセが強い)
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