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[コメント] 遊星よりの物体X(1951/米)

傑作。スタンダード画面に大量の人物が入り乱れるのだが、フレーム内外、左右或いは手前から奥、もしくはその反対へと手際よく人を動かしていくのでいささかも窮屈さを感じさせない。むしろ速度感が充満してさえいる。この映画において「扉」の映るカットはそのほとんどでそれを通じた人物移動や向こう側の状況を想像させる演出が行われているのだ。
赤い戦車

温室の扉を開くショットの驚きときたら凄まじい。現代のホラー作家たちなら普通ためてためて最後にバーン、と出すところを一瞬でやってしまう、これは今でも新しい、というか実に賢い。二度目の襲来ではやはり扉を画面奥に、待ち構える人間たちを手前に、部屋の全景が分かるようなカメラ位置におく。最もエキサイティングに見える場所を見事に選択している。点滅が早くなる放射能計、暗くした部屋、炎、暴れ回る怪物、対抗して戦う人間たちの動き、これらの表現も全く古びていない。

ちなみに本作がホークス的記号に満ちた映画であることは明白であり、ホークスが撮ったと言われても私はさして驚かないが、誰が撮ったかどうかはこの際どうでもよい。何より重要なのは、この映画は「面白い」ということだ。

・ところでラストの台詞はスピルバーグが引用している。

(評価:★4)

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