[コメント] ウォール街(1987/米)
「悪くない」映画。
戦場から離れたオリヴァー・ストーンが、彼なりに映画の演出というものを考え直したのか、ロバート・リチャードソンが撮影監督としての自我に目覚めたのか詳細はわからぬものの、前作までのような「映画の作り方もわからぬ輩が、ただ本能のおもむくままにただカメラを回している」といった感じがやや薄れて、それなりに観られる娯楽作の様相を呈していたことに、大変失礼ながら、純粋な驚きを隠せなかった。マイケル・ダグラスが見せる存在感にしても(それが激賞されるものであるかは別として)決して悪くはなかったし、マーティン・シーンが見せたチャーリー・シーンとの貫録の差も、それが演出としてきちんと示されていることには少なからず好感というものを抱いた。大事なところで登場するテレンス・スタンプの扱いについても同様に、悪い印象はない。
けれど、それらがまだ「悪くない」といった程度の出来栄えであることも確かなのだ。悪くはないけれども、決して突き抜けたものではなかった。そのあたりが正直なところ。
だからせっかくラストでマーティン・シーンがいいことを言っていても、それが栄えないどころか「それで終わりかよ」的な印象すら抱いてしまう。そのあたりに当時のオリヴァー・ストーンの監督としての力量不足を顕著に感じてしまう作品であった。
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