[コメント] 詩季織々(2018/日=中国)
新海誠映画スタッフの緻密な絵による印象の強さが感慨を支配する作品。「陽だまりの朝食」などは完全にそれに依るところが大きく、ビーフン料理の旨そうなヴィジュアルなしには興味を削がれただろう。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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同作はそこに価値を見出すことにより、ドラマ性は希薄とはいえないが弱い印象を与える作品となっている。と言うか、基本のドラマは饒舌すぎるナレーションにより辟易させられる部分も正直あるのだ。料理の描き込みがそんなドラマの弱さに説得力を補っている。
個人的意見としては「小さなファッションショー」が一番共感を促された。これは日本人(卑怯な言い方だな)、いや俺があまりに都会に馴染み過ぎたせいだろうか。70年代風の業界内での恨み・嫉み・妬みがあまり執拗に描かれないのも現代的でむしろホッとするし、定番のマネージャー(安元洋貴)のオネエならではの気の遣い方も決して嫌味にはとられなかった。あまり中国らしからぬ印象はあったための共感かもしれない。
「上海恋」が中国らしい物語としてはよい出来栄えだったろう。東京五輪(1964年)の前後にも日本にあったようなエピソードだが、上海のよく写真で見覚えのある市街と住宅街が効果的に描かれていた。ラジカセも当時の自分の愛用品に似て懐かしい。ただ、ラストの展開の唐突さはちょっと興ざめだった。あのおめでたさはないだろうよ。
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