[コメント] ヒットラーの狂人(1943/米)
ジョン・キャラダインのハイドリヒの傲慢もの凄く、この悪役造形は針が振り切れており忘れ難いものがある(含『母と暮らせば』のネタバレ)。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ハイドリヒは大学の授業中に教授の横に座り妨害、教壇を奪い取り「知識は抽象にとどめておくべきだ」机に足上げ、ロシア戦線への労働者募集を始める。収容所送りの女性選別。窓から飛び降りた者を見て一言「またも知識の犠牲」。知識は身を滅ぼす、愚鈍であれ、という一貫した思想が感じられる。
エンスラポイド作戦、ラインハルト・ハイドリヒ暗殺とナチの報復であるリディツェ村虐殺が描かれる。リディツェ村の来歴から語り起こされ、バックにモルダウが流れる。事件の再現は正確だが、映画は当時のハリウッド文法で、ラブロマンスの描写もあり、ホノボノした人物にはホノボノとしたスコアの劇伴が流れる。古臭いとも云うが、シリアスで一貫しているのが即リアルとも云わないだろう、これはこれで味がある。暗殺のショットはさすがに冴えている。
布告の「町は地図から消される」という文言もまた正確なのだろうか。ろくでもないことである。ソ連ではこんなことを628箇所で行った訳だ。収束の殲滅された村民の亡霊の訴えは直截的で『母と暮らせば』のラストの合唱が思い出される手法。山田洋次は承知して引用しているのだろう。ただ、外来者に注意せよというこの訴えは、チェコ人とドイツ人では意味が逆になるだろうと思われる。
ラング『死刑執行人』と同事件を扱っている(公開はランク作が優先され、本作は遅れさせられた由)。ラング作は記憶の彼方にあり、観直してみたい。
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