[コメント] プライベート・ウォー(2018/英=米)
ファーストカットとラストカットが、同じ真俯瞰上昇移動からシリアのホムス市街を大俯瞰で収めるショット。ドローンとVFXを組み合わせて作ったものだと思われる。
見る前は、また、手持ちのシェイク映像で気分が悪くなったらイヤだなと思っていたが、そんなことはなく、ドローンとステディカムは駆使するが、ほとんど、安定した画面だった。ロザムンド・パイクがスリランカで隻眼となる夜の攻撃シーンはステディカム使いだろう。その他、ロバート・リチャードソンの撮影は、こゝでも画面への太陽光など光源の取り込みが特徴的だ。かなりのカットで光が入っている。例えば、スリランカのシーケンス導入部で、兵士が後景におり、パイクがしゃがんで煙草を吸っているカットなんかは、画面右上に夕日の斜光が入っている。本作の成功は、パイクの鬼気迫る成り切りぶりもあるが、それ以上にこの撮影監督を招聘できたことが大きいだろう。
ただし、私は基本的にフラッシュバック嫌いということもあり、戦場、爆撃や死体のフラッシュバックはPTSDを描くため必要なのは分かるが、上手くない、未整理な感覚を持つ。それに、戦場のシーンから、度々、あっと云う間にホテルやロンドンの安穏としたシーンに繋がれる感覚があり、戦場における決定的なプロットが欠落しているのではないか、という気もしてくる。
とは云え、主人公の死が最初に示され、その最期へ向かって収斂する構成の中で、誰もがラストの描き方に過剰に期待をすることになると思うが、ラストシーケンス、ホムス爆撃とパイクの死の描写は、期待にきちんと応えていると思う。
(期待などと不謹慎な書き方かも知れませんが、映画に対する真摯さとは、そもそも、日常的な倫理感とは相いれない部分が多いと思います。)
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