[コメント] 死よ、万歳(1971/仏)
汚濁と酸鼻のイメージに満ち満ちた、幼き日のアラバール少年のまったく瑞々しくはない青春物語。露悪趣味のなかに不思議なユーモアの漂う作風は粗削りだが、それなりの魅力に目を追わしめる。悪ガキらしい妄想は愉快だが、凄惨なシーンもあるので鑑賞は自己責任のもとにされたい。
例えば立ち小便で大洪水を起こし大人たちを溺れさせる夢は楽しく、ほかにも少年たちにリンチを受けて切り取られたおのれの睾丸を食わされた神父が「主よ、わが身にお与えくださったこの部分はこんなにも美味でございます」と感嘆するのはなんとも頷かされるくだりだ。
もともと興味をもったのは、ファンであるローラン・トポールのイラストが効果的に使われている、との情報からなのだが、これは期待が上回り過ぎたようだった。相変わらず好きではあるのだが、想像した「地獄絵図」よりは大人しかったかと思われた。ボッシュやブリューゲルの亜流止まり。
むしろ日本人の大部分が目を背けるのは、生きた牛の屠殺と性器の切除なのだろう。大抵の残酷シーンはモザイク処理されていたが、なぜかこれはモロであった。
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