[コメント] 窮鼠はチーズの夢を見る(2020/日)
行定勲の演出能力を疑うわけではないので、たぶんのめり込めないのは原作漫画のキャラクターが自分に合わないだけなのだろう。ボーイズラヴの役割付けである、「攻め」と「受け」が作為的すぎるということなのだが。
主人公は「どうしようもないクズ男」相手は「一途に主人公を慕う男」というのが映画館のロビーで熱論をぶつ女性客の持論だったのだが、なるほどそういう見方をするのか、と思ったものだ。自分にとっては主人公というよくいる男に執拗につきまとい、一方的に入れあげた挙句ジェラシーの塊となって敵に立ち向かう昔ながらの女性役の敷衍としか見えなかったからだ。
実際、成田凌という「魔性のゲイ」は、どこから見ても昔の女性役をまとい男の皮をかぶせた「一途で迷惑なほどのヒロイン」にしか見えないのだ。BLという役組をはずせば、大した魅力もないのに嫉妬心だけは強い女性のロマンスだけが見えてくる。陳腐で古風でしかない。そんなものを男同士でやっているだけで作品を持ち上げる一部女性客の気持ちは、正直わからない。BLだから悪いのではない。あまりに使い古された役割に驚かされるのだ。男性と男性の愛にはもっと新鮮な切り口があるべきではないか。保守に堕してはおしまいだろう。
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