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[コメント] 未知との遭遇(1977/米)

未知なるものの具象描写は時代を超えずSO-SO
junojuna

この作品ををスピルバーグのファンタジー路線として鑑賞するつもりが、一種のサイコホラームービーであることを発見してしまった。リチャード・ドレイファスが印象付けるあのキャラクターははじめからああした設定であったのかというくらい狂気が充溢しており、スピルバーグの家庭内演出描写はホラータッチですらある。さらにはトリュフォーのラコーム教授などのキャスティングの不可解さや、宇宙船との交信における音楽的高まりの芸術性、明らかに破綻を含んでいながら随所にストーリーとは別枠での映画的強度が散見するカルト的な作品である。映画内にどこかひじょうに不可思議な力学が働いている。  公開から30年以上たって見ると、宇宙船のデザインおよび宇宙人のデザインなど具象描写にキツイものがある。ファンタジーとして受け入れられる作品であればそれでよしとなるところであるが、それこそ、画面に充溢していたサスペンスフルな狂気をテーマとして、未知なる物をあくまで抽象的に描くことに徹底していれば、もっと含蓄のある時代を超えた傑作カルト映画となったであろう。

(評価:★3)

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