[コメント] サム・ペキンパー 情熱と美学(2005/独)
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演出面では、事前の俳優同志のコミュニケーションを禁じて現場での主導権を握ったこと、ハリウッド流の表情しかできないオリヴィア・デ・ハヴィランドの演技が終わってもキャメラを回させて罵倒して別の表情を収めた件(TV映画)、監督にコミュニケーションを求めて好きにしろと云われて戸惑ったダスティン・ホフマン(典型的なメソッド・アクターと評されている)の件など印象に残る。本作は親分懐かしと集まる舎弟の思い出話がメインだが、人間関係がつくれずに終わった人たちもたくさんいるのだろう。
撮影では実弾が使われ(60年代の日活撮影所も使ったらしい)、ペキンパー自身も拳銃持って無茶する話多数。『ガルシアの首』に出ていたメキシコのエミリオ・フェルナンデスは、自作を貶した批評家を殺したことがあるとの発言があったがホンマだろうか。
『戦争のはらわた』の頃は一日ウォッカを4本空けた依存症でコカイン中毒に至る。『コンボイ』で依頼がなくなり『バイオレント・サタデー』はお仕着せ企画。遺骨は海に撒かれたとのこと。出自は製材所も持っていた山男の一族と冒頭に語られたが、どうしてそんな選択をしたのだろうか気になった。
冒頭は遺作となったジュリアン・レノンの「ヴァロッテ」PVの撮影風景。モンテ・ヘルマンがナレーターとの表記がある。プロデューサーに編集で無茶苦茶にされたと泣きが入るのは『ダンディー少佐』、『ワイルドバンチ』(4時間を削減)と『ビリー・ザ・キッド』。
これら製作者は名指しで批判されるのだが、こうなると製作者側の反論も聞きたい処である。少しだけ期待したのだが、やはり「悪役」の登場はなかった。こういうものこそ両論併記が必要だと思うのだが。だからスリリングなドキュメンタリー名作の要件を本作は満たしていない。
同時代のハリウッドの監督からは、そんな話はあんまり聞かないもの。まあ、ファンはそんな検証など期待していないのだろう。金と時間に糸目をつけない、製作畑が困る、破滅型の天才は、ファンが煽って神話化するものだ。
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