[コメント] ノイズが言うには(2010/日)
何げない(とは言えないが)この日常描写のなかに周到な恣意が仕込まれたドキュメンタリーだということが徐々に分かってくる。この恣意は小田香自身の混乱した心情に直結しているため、実は本人にとって「周到」などでは決してないことがさらに分かってくる。
観終わってこのこんがらがったドラマを冷静に整理してみると、自傷したすえに返すカミソリの刃で相手を切りつけるような小田香の切迫感に満ちた恐ろしい映画だということに気づく。
きっと小田が「映像」を信じるあまり、自分の混乱を整理しきれぬまま撮るという行為に逃げてしまった結果だろう。それは小田のあふれ出る心情が、まだ映画学生である彼女の「映像」を制御する技術に勝ってしまったからだろう。決して悪いことではない。映像の力を信じる真摯さのゆえの暴走だ。
小田の友人のキャラにホッとする。少ないシーンながら彼女を登場させたことが、小田の才覚であり自身への無意識の救済だと思う。
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