[コメント] 陽暉楼(1983/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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いきなりネガティブな話を書くが、私は五社英雄という監督が嫌いだ。私がもっとも嫌っている(最近はそうでもないけど)80年代の邦画の中心人物であり、この人が本来の邦画の質を下げてしまったため、復興まで時間がかかったと思っている。80年代は他にも角川によるアイドル映画が流行り、これまた碌々演技もできないタレントを持ち上げてとりあえずの興行成績を上げてはいたが、それに対し、重厚な作品が年に数本ほど制作された。しかし、その「重厚」というのが、結局舞台を過去に変えただけの痴話喧嘩を延々と見せられるだけというのにあっては、好きになれるはずがない。大体最大の見せ場がヴェテラン女優の濡れ場ってのじゃなあ。
そして80年代を通してその痴話喧嘩映画を作り続けたのがこの五社英雄という監督。そんな訳で、嫌いな80年代映画の中でも嫌いな監督の筆頭に挙がる。
それでも何故か本作を観てしまった。妙に金ばかりを使った長い長い物語で、その中で爛れたような関係を持った男女の長い長い物語が展開…どう考えても好きになれそうもない設定。ということで、最初からネガティブな思いで本作を観始めたのだが、これを観ていて少しだけ監督を見直した。
私はてっきり五社監督というのは、要請を受けて渋々こういう作品作っていると思っていた。趣味じゃないので、演出だけくどくしてお茶を濁していたんだと。でも、意外に実はこういう映画を楽しんで作っていたんじゃないのか?と思い直す結果になった。
極論を言わせてもらうと、これ観て思ったのは、五社監督は意外にフェティ性が強い監督なんじゃないか?ということ。
この人の描く女性像はとにかく気が強い。気が強いだけじゃなくて、場合によっては拳に訴えかけるような、かなり暴力性を内に秘めた女性が多い。惚れた男にはとことん尽くす代わり、もし浮気などしようものなら、相手の女をとことんとっちめてやらずにはいられない。しかもそれが一人ではなく、複数登場する。
結果としてどうなるかというと、あられもない姿で女同士が殴りあうような描写ができあがる。
それを観ていて、「ああ、この人はキャットファイトが好きなんだ」と、自分の中で得心がいった。半裸の姐さんたちが殴りあい、組み合う。この部分にフェティ度を満足させていたんじゃないか?
実は私はそう言ったフェティ度を強く持った監督が作る作品って結構好きでもあり、こういうフェティな部分を隠すところなく堂々と描いているということだけでも、結構評価すべきなんじゃないか?と思い直したわけである。本作の温泉での乱闘シーンなんて、フェティ満開で、これを撮っただけでも、実は五社監督って大満足だったんじゃなかろうか?
なるほど。こう言ったところで個性を出すことができる監督だったんだな。それだけでも評価すべきなのかもしれない。
…ただし、その部分を認めたとしても、私にキャットファイト見て悦に入る趣味はない。残念ながら。
(評価:)
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