[コメント] 街の上で(2019/日)
どうして、古川琴音のナレーションで始まるのか、終盤まで私は疑問を感じながら、言い換えれば、この小さな謎の解決をテーマとしながら、見ることになった。この辺りも上手いと思った。続いて、穂志もえかと若葉の別れの場面。無言カットの切り返し(つまり視線の演出)がいい。芹澤興人の店や、中田青渚の部屋などで用いられる、ちょっと引いた長回しと、こゝぞ、というタイミングでの、端正な、絶妙な間の切り返しの共存がいいのだ。
若葉は古着屋の店員。店での最初の場面、告白用の服を探す客への接客場面がとても面白く、もうこの冒頭から本作のリズムに乗せられてしまう。その後も、ずっとニヤケ顔が止まらず見てしまうシーンの連続だが、しかし、クライマックスと云っていいだろう、終盤の道での鉢合わせ場面では、爆発的な盛り上がりを見せるのだ。スモールワールド的(狭い世界的)偶然の遭遇が、最初に告白用の服を買った客たちとすれ違うところから始まる、というのも良く、姪のことが好きなお巡りさん(ルノアール兄弟・左近洋一郎)の役割りも、とても秀逸だ。成田凌の位置づけも面白いが、映画として許容される、ギリギリの「世間は狭い的偶然」だろう。最終的に、穂志もえかが口にする「スキ」の口調もたまりません。
さて、上で古川琴音、穂志もえか、中田青渚の名前を出したが、あと、萩原みのりを加えた4人の旬の女優を楽しむことのできる映画としてもバランスがいい。この中では、若葉竜也に深くからまない萩原が、ちょっと損な役回りと云えるかも知れない。私としては、一人だけ関西弁の中田青渚を推す(昨年『君が世界のはじまり』を見た時から推している)。最終的に一番謎を残して終わるのも彼女なのだ。
#バーに来た関取は中田と繋がっているのか。中田が若葉の店に来て、嘘をつくのは、なぜなのか。
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