[コメント] ヨーロッパ(1991/独=仏=スウェーデン=デンマーク)
フランツ・カフカ「アメリカ」の陰画たり得る佳作!!
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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初期作品からキングダムまでのラース・フォン・トリアー作品で重要な役割を果たした脚本上のパートナーニルス・バッセル。本作品にも名を連ねるが、影響度という点では他作品と比較にならないであろう。
というのも、ジェイムス・ジョイス「フィネガンズ・ウェイク」、「ユリシーズ」といった前衛小説にとりつかれているバッセルは、かの不朽の珍作フランツ・カフカ「アメリカ」にもいたくご執心なのだ。この「アメリカ」が珍作たる所以は、カフカ自身未踏の地である米国が舞台であること、執筆の発端が在米叔母からの絵葉書であること、主人公が欧州を見限って渡米するがかの地で様々な困難に直面するという内容、最後に全編英語で(!!!)書かれていること。
ここまで書くと聡明な諸賢はお気づきのことと思うが、この「ヨーロッパ」こそはカフカ作「アメリカ」の陰画であるのだ。そうすると、ややもすると過剰な視覚的要素も脚本との内的整合性を帯びてくる。様式化された画面構成、バックプロジェクションによる反転された深さ、そういった効果は単に彩を添える目的で採用されたのではなく、カフカ作品の白眉たる迷宮的空間を構成することを企図するものであるわけだ。催眠術に想を得たという意味ありげな語りも深読みの余地があり愉しい。
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