[コメント] 少女暴行事件 赤い靴(1983/日)
非行に走る無気力な少女少年たちを描きながら映画はまったく無気力な作りではなく、彼らの怠惰な生を瑞々しい映像で切り取っている。セックスシーンにさえ常に不吉な予感が漂い、悲劇的なラストへと徐々に近づいていく。虚しさが余韻として深く残る衝撃作。
日活ロマンポルノというのはエロを売りにした商品としての作品が大半というイメージであるが、これは本当に純度の高い作家の映画という感じが全編漲っている。まるでエドワード・ヤンみたい、というかそれ以上かもしれない。音楽が流れず静謐に始まる冒頭。爆竹を鳴らしながら、夜道を車やバイクが走る画の美しさ。ラストの突き放し方。どこを切り取っても凄いとしか言いようがない。
AVの登場により窮地に追いやられ、まさに終わりに向かっていた末期ロマンポルノがこのような傑作をひっそりと生み出していたということも含め、大きな感銘を受けずにはいられなかった。
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