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[コメント] ハウス・オブ・グッチ(2021/米)

実は、見ている最中に、これは良いシーンだ、と思えたシーンがなく、見終わってからも、一所懸命良いシーンを思い出そうとしたのだが、一つも出てこなかった。久しぶりに大きく失望を味わう映画を見た、ということになる。
ゑぎ

 勿論、この評価は、極めて私的な、[満足度]/[期待度] の結果であり、リドリー・スコットということで、過ぎたる期待があったのかもしれない(自分ではそうでもなかったと思っているが)。

 もっとも、だからと云って、長尺がとても退屈だった、というワケでもなく、主要キャストの演技を見ている分には楽しく過ごしたし、役者は皆、見応えがあった、と云っても良いが、これとて、演技・演出の突出を感じるところもなかったのだ。ちなみにレディー・ガガには『アリー/スター誕生』ほどの驚きを感じず。アダム・ドライヴァーはこの人らしい雰囲気の出し方がいいけれど、結局、人物造型としては薄っぺら過ぎると感じた。これは演出部の責任だろう。

 これ、本当にリドリー・スコットが監督していたのだろうか?そうだとしたら、数えきれない入れ知恵、あるいは委譲の結果ではないのか。スコットらしい破滅の魅力だとか、プロットの破綻なんか気にしない圧倒的な映像の力だとかを全然感じられなかったのが残念だ。殺人事件を扱った映画でもあるのに、サスペンスフル、という言葉が、現場の誰の念頭にもなかったのではないか。殺人事件のプロットが一番描きたかった部分ではないにしてもだ。リドリー・スコットらしさをもっと出すには、逮捕劇の前後も切り取って見せるべきだったのではないかと私は思う。

 あ、ジャレッド・レトーの妻を演じていた、フローレンス・アンドリューズという女優がちょっと気になった。「魔笛」のアリアを唄い続ける描写が偏執的で良かった。

(評価:★2)

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