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[コメント] マークスマン(2021/米)

メインのプロットは、アリゾナからシカゴまでのロードムービーだ。開巻は、メキシコの村。教会の前の石像か?首に赤い石のネックレスがかかっている。ファーストカットから、綺麗な色使い、画面が美しいと思う。
ゑぎ

 赤いキャンディ(グミ?)を持って、少年ミゲルが歩いてくる。好きな女の子の家にキャンディの袋とメモを置く。他にも赤いピックアップトラックや他の車のテールランプの赤、あるいは、ミゲルの家では、ママがトマト料理をしているし、キッチンの赤いヤカンも目に入る、赤色の連打なのだ。赤色は、狙撃したコヨーテの血の赤や、撃たれた人の血の色に繋がっていく。

 さて、イーストウッド印も目に留まるので、備忘を兼ねて記載しておこう。リーアム・ニーソンの家の前には旗竿があり、星条旗が掲げられている(全然はためいてはいないが)。病気で亡くなった妻の墓が家の裏手の丘にある(丘に散骨したと云う)。十字架の墓標は、中盤でも再登場する。ニーソンとミゲル少年は、モーテルのテレビで『奴らを高く吊るせ!』を見る。教会の神父の言葉が重要な選択を促す。二人で空き缶を使った拳銃の練習をするシーンもある。そして、ラストカットは『ミリオンダラー・ベイビー』に近いものを感じる。尚、銃の練習を少年にもさせるのは、伏線だろうと誰もが予想すると思うが、ちょっとひねった回収の仕方を見せる。この演出にも唸る。

 アクションシーンについては、怒涛の攻撃という感じではないが、ポイントを絞ったタイトな良い出来だ。何と云っても、乾草の転がる、農場の横の道での狙撃シーンが一番興奮した。自動車を回転(横転)させる画面のスペクタキュラー。続くサイロのある乾燥倉庫での対決。こゝも、一筋縄ではいかない、男気のある演出が、ちょっと劇的過ぎるとも思うが、だからこそ映画的だ。本作の悪役は、麻薬カルテルの追手のボス、マウリシオを演じるフアン・パブロ・ラバという役者だが、なかなかいい悪役だ。今後が楽しみな俳優が一人増えた。対決の最後のカットが、倉庫を遠くに引いた(遠景の)カットで銃声、というのもイーストウッドっぽい。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)サイモン64[*]

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