[コメント] ビリーバーズ(2022/日)
ドローンによる孤島の大俯瞰移動ショット。急降下し、座って足裏を合わせている三人それぞれにパンするまでをワンカットで見せる。
この冒頭カット、CGで繋いでいないのなら、なかなか見事なドローン撮影じゃないか。他にも、テーブルについて会話する三人を、その外側から、何周も回転しながら見せるショットなんかもドローンだろうか。
オペレーター−磯村勇斗が淫夢を見たことで、胸まで土に埋められている際に、副議長−北村優衣が慰めに来、議長さん−宇野祥平には内緒、というようなことを呟いたときの、磯村の反応の見せ方が好き。ギャグみたいなシーンでもあるが、この画面の緊張感の創出はいい。あとは、全体に緩い演出が多いと思う。クルーザーでやって来た若者たちとの場面の演出なんかも緩い。あるいは、数々の幻視のモチーフもイマイチな造型で、特にカメ(カメも幻視でしょう?)が要らないと思いながら見る。唐突な強制終了はちょっと面白かったが。それに何より、ラスト近くのモブシーンが、決定的に緊張感に欠けるのがつらい。中途半端な動員数だし、邦画らしいチープさでゲンナリしてしまったのだ。こんなんだったら、もっと少人数で、ちゃんとプロの役者だけで上陸して来る設定にした方が、緊張感が出せたのではないだろうか。
もっとも、三人の俳優は皆良いパフォーマンスなので、コントに近い演出があっても、それぞれのナリキリぶりを見ているだけで満足感を得られました。宇野の演技・演出は、やり過ぎの感もあるが、磯村と北村の感情の表現には心揺すぶられる部分がある。特に、北村が磯村のことをスキと思う感情の表出が、とても可愛らしい。北村優衣が愛らしく見える、ということには、成功していると思う。多分、作り手も、そこに力を注いだんじゃないでしょうか。
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