コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 恋のいばら(2022/日)

私も見ている間は、ちょっと、ひねり(ツイスト)が過ぎるかな、と思ってしまったのだが、
ゑぎ

 見終わって考えているうちに、これだけの手かずのフックを残すこと自体がなかなかできることではないなぁと感じ始め、これは今後、徐々にかも知れないが、ファンを広げる映画じゃないか、と思うようになりました。

 本作のフックの例ということで、重層的なイメージを列記します。青い石のついたネックレスとアンクレットチェーン。交換される写真集。複数の鍵と錠。一人のダンスから二人のダンスへ。ビーフジャーキーの受け渡し。クローゼットの中とベッドの下。しゃっくりの重来。部屋中に舞う羽毛とスタジオの外の桜吹雪。お城と眠り姫の多重イメージなどなど(きっと他にもあると思います)。

 あと、ファーストカットはアバンタイトルで松本穂香の寝顔だが、これが終盤に再登場する(フラッシュフォワードだった)、というような構成だとか、玉城ティナが朝帰りする際、橋のところでクルリと回転するのでハッとさせられるが、ダンスの練習をしていたと分かる、というような見せ方だとか。あるいは、彼女の道でのダンスの回転運動から、ダンススタジオでの回転運動へ繋ぐマッチカットもあるし、その他、フラッシュバックの見せ方として、人物の背中へ横移動して黒画面を経由し、時空を飛ばす繋ぎが何度もあって、本作の場面転換は非常に凝っている。

 また、カメラワークだと、松本とケンタロウ−渡邊圭祐との出会いは、図書館での応対シーンだが、2人からゆっくりとトラックバック(後退移動)するショット。そして、松本が渡邊にフラれるシーン(窓の向こうにミライザカが見えるカフェのシーン)でも、同様にトラックバックする移動撮影が選択されているという反復なんかも記憶に残るのだ。さらに云うと、この別れのシーンで、松本がスパゲティを食べている回想は2回出て来るのです。私にとって、彼女のスパゲティの食べ方の絵面こそ、この映画を思い出す際、常に最初に脳裏に浮かぶフック(ひっかかり)です。

#ゾンビ映画上映館はシネクイント(渋谷)。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。