[コメント] 非常宣言(2022/韓国)
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というOPの字幕の日本語訳がDVDにはあるのにアマプラの配信版にはない! これがないとハングルを読める人以外はタイトルの意味がわからないのはひどいなぁ。なんだが、どっちみちこの「非常宣言」がいうほど機能しないのだ。ホノルル、成田はもとより、仁川でも不時着が拒否られる。結局「非常宣言」を出したところで政治の力でもみ消されちゃうものなのだ、という権力の酷さとヒューマニズムの対決を描こうとした作品なのか? なんかそんな気もするが、ただの娯楽作品に過ぎないような気もする。
ともかく要素盛り込み過ぎ。何が言いたいのかわからない理由はこれにつきる。テロリストの自分の母親からの抑圧、家庭を顧みない仕事バカの刑事夫婦の不和とその和解、グローバル企業と一国政府の確執、元パイロットの以前の航空機事故のトラウマとその克服、バイオ汚染された航空機を着陸させる・させないの世論の衝突。どれもこれもお馴染みの設定ばかりが食卓いっぱいに並べられてまさに食傷、ゲップしかでない。
アクション含めサスペンスシチュエーションも盛り過ぎで、機内のパニック描写のほかに、感染者のスプラッタ描写、犯人追跡のカーアクションでの車内固定カメラで車が横転するカット、操縦桿を力まかせに引っ張り墜落する機体を浮上させようと試みる過去何百回も映画で描写されたであろうお馴染みの場面、解毒ワクチンが効くのか効かないのかを自ら人体実験を行う刑事の生死の行方、これと並行に行われる法務大臣vsグローバル企業の管理職との対決、着陸賛成派と反対派の双方のデモ隊のモブシーン…。撮りたかった絵とソン・ガンホ、 イ・ビョンホン、チョン・ドヨンのそれぞれの見せ場をもとあれもこれも詰め込み過ぎたおかげで、密室とタイムリミットという二つの緊迫がそがれてしまっているように思う。自由落下のスタントで急降下する機内の様子をはじめとする、本物の飛行機の離陸・飛行シーンもふんだんに盛り込んだ気合の入ったアクションがあるのだから、ノンストップアクション作品に振り切ればいいのにと思った。
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