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[コメント] 仕掛人・藤枝梅安2(2023/日)

やはり、夜間シーンの照明はゴージャス。行燈の中の揺れる炎が作るローキー。昼間シーンになると、早く夜になれ、と思いながら見た。ただし、前作冒頭の照明の方が驚きは大きかったかもしれない。
ゑぎ

 一方、プロットの運びに関しては、私は前作以上に本作の方が良いと感じた。例えば、スモールワールド攻撃が減ったこと。多分、峯山又十郎役の椎名桔平が梅安の師の墓参りをしている事柄に関する部分ぐらいだろう。尚、この役の椎名は、剣客としての腕がイマイチで、おっとりした侍である、という設定は良いフェイントだ。梅安と彦次郎がつけていることに、当然気づいているのだろうと思いながら見ていたのだ。

 また、矢張り、回想・フラッシュバックのシーンは全体に宜しくなく、特に前半は、回想・フラッシュバックだらけでゲンナリした。例えば、佐藤浩市の恨みを買うようになった顛末の回想シーンは長い。それに、こゝで出て来る御新造の篠原ゆき子をもっと綺麗に撮ってあげないとダメだろう。雨の中でホログラムみたいになっている表現は面白かったが。

 あと、悪役としての椎名桔平は、少なくも主人公たちと対決するという意味においては、まるで反故にされたように見せ場がないのもどうか。町民たち(廓や商人)への狼藉場面だけしかないとは。せめて、佐藤浩市や一ノ瀬颯と闘わせることができなかったんだろうか。最期の意匠も、もっとスペクタキュラーに見せた方が良かったんじゃないか。タランティーノ『ヘイトフル・エイト』みたいに。

 しかし、終盤は、なんだかんだ云っても、盛り上がる。江戸に帰ってきた梅安は、品川を過ぎて浅草で彦次郎と別れ、そのまゝ料亭「井筒」へ行き、いきなりおもん−菅野美穂を抱く、というのがいい。あるいは、井筒での菅野と佐藤のシーンも悪くない。殺されてもいいのかと恫喝された場面でいったん割愛し、後になってフラッシュバックで続きを見せるのは、これもそんな必要はないと思ったが。そして、本作のエンドロール後のオマケは嬉しいものだ。前作と違い、劇中では料理がらみでの池波正太郎リスペクトをほとんど感じさせなかったのだが、このオマケは茶目っ気たっぷりじゃないか。井筒の門前で振り返るフルショットの、軽いスローモーションもいい。

(評価:★3)

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