[コメント] その日、カレーライスができるまで(2021/日)
雨の夜は世界を孤立させたカタチで切り取る。ラジオで調子よく喋っているDJを軸として、その周りに存在する男と女がドーム内に幽閉されているような焦燥。でも、薄日が差せばふたりの周りにはきちんとした生きる空間が甦っているのだ。「3日目のカレー」が、現実の意味を帯びて必要以上に旨そうに見える所以だ。
吉田照美を司会者に起用したのも良かった。彼はもう70を越しているが、歳に似合わない軽薄さが作用して今でも昔の深夜放送ふうの無責任なフレンドリーさを振りまける。今回はそれがバックグラウンドとして、深夜の色彩を塗布するのに役立ったようだ。
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