[コメント] レミニセンス(2021/米)
人の意見に左右されずに、自分の目で確かめましょう(もちろん、私の感想なんか信じちゃいけません)。ちなみに、この映画も、つまらないストーリだと云って、はばからないが、私にとって、映画はストーリなんかどうでもいいのです(ちょっと云い過ぎ)。映画には、瞠目する画面と音があればいいのだ(キャラ造型なんかも、画面と音に分解して考えます)。
さて、海の大俯瞰で始まる映画。ティルトアップして、前進移動し、水没した都市、マイアミを見せる。水の中の街。ビル群。道路に溜まった水の中に、ハートのクィーンのカード。それを拾い上げる男、ヒュー・ジャックマン。ここまでをワンカット様にCGで造型した素晴らしいファーストショットじゃないか。ジャックマンの相棒は、タンディ・ニュートンで、鍵束を投げ合う仲、というホークス的連帯関係を簡潔に表現する。そして運命の女、レベッカ・ファーガソンの出来栄えも最高だ。彼女の登場は、ローキーのロングショット。そして、朝日の逆光の中のアップに切り換える。以降、終盤まで、数え切れないくらい、逆光のカットが反復されるのだ。また、ファーガソンは場末のクラブ歌手、という設定で、ジャックマンが訪れた際には、ロジャース/ハートの「Where or When」を、吹き替えなしで、情感たっぷりに唄うのだ。ちなみに、『グレイテスト・ショーマン』(奇しくも、これもジャックマンとの共演作)では、歌唱シーンは吹き替えだったので、私は留飲が下がる思いをした。
また、ニューオーリンズのセント・ジョー(役名)−ダニエル・ウーとの対決シーンも見せる。タンディ・ニュートンがカッコいい!切れのいいコンバット・シューティング演出だ。アクションシーンでは、大好きなクリフ・カーティスが悪徳警官として登場し、マイアミの貧民窟でジャックマンと対決するシーケンスも、よく撮れている。ピアノと共に水に沈む画面の、意表をつく見せ方なんかも吃驚させるではないか。
もちろん、本作の基盤となるガジェット、記憶潜入装置と投影システムの描き方も面白い。そして何よりも、随所で挿入される、水没する都市、という空間を俯瞰中心で捉える画面のスペクタキュラーは特筆すべきだろう。それは、例えば、眼下に水没する街が見える、高いビルのバルコニーで、二人抱き合いオルフェウスの話をするシーンなどで、最大限に活かされる。このような瞠目する画面に溢れている。
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