[コメント] モリコーネ 映画が恋した音楽家(2021/伊)
160分近い尺の中でモリコーネの人生と映画音楽の軌跡を丹念に追いかける。序盤は証言インタビューが中心の構成に観続けるのがやや苦痛に感じられる予感もあった。だが、モリコーネが映画音楽の道に入るあたりから、画面に釘付けになる。モリコーネ自身や関係者たちの証言が、実際の映画シーンと重なることで、圧倒的な説得力と魅力を生み出している。
モリコーネの記憶力は驚異的で、当時の音楽制作過程や関係者とのやり取りを饒舌に語る姿には感嘆せざるを得ない。「編曲を発明した」「実験音楽」と評されるように、缶を転がす音や口笛を取り入れるなど、彼のアイデアは独創的かつ挑戦的だった。「3つの音を4拍子で」という発想を楽しげに語る姿や、「まず妻のマリアに聴かせる」と、彼の創作の背後にある愛妻の支えが垣間見えるところも印象的。
クリント・イーストウッド、ベルナルド・ベルトルッチ、ハンス・ジマー、ブルース・スプリングスティーン…多くの映画界・音楽界の巨匠たちが、モリコーネの偉業と才能を惜しみなく称賛する。アカデミー賞では長らく無冠だったが、名誉賞を受賞、その後に『ヘイトフル・エイト』でついに作曲賞を受賞するというのも感動的だ。かつて音楽としての地位が低かった映画音楽の世界に逡巡しながら足を踏み入れた彼が、次第にその世界に夢中になり、最終的には「映画音楽は本格的な現代音楽」と語るに至る。この言葉には、彼の矜持と誇りが込められているように思える。「モーツァルトかベートーヴェンかは200年後にわかる」、創作に力を尽くした人生への満足度が感じられる。
モリコーネとレオーネが小学校の同級生だったというエピソードはなんとなく知っていたが、集合写真で並ぶ二人の姿を見ることができたのは貴重だった。911テロで世界貿易センタービルに航空機が突っ込み、崩壊する映像も、今ではなかなか見ることができないという意味で貴重。
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