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[コメント] どん底作家の人生に幸あれ!(2019/英=米)

ディケンズの名作小説の何度目かの映画化らしいが、私は初見。面白い話だと思うが、2つ「損」をしているなぁと感じるところがありました。
プロキオン14

**ネタバレ注意**
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英国の国民的小説家チャールズ・ディケンズ。これまでも『オリバー・ツイスト』『クリスマスキャロル』『大いなる遺産』『二都物語』など、何度も映像化されてきました。そんな名作の一つ、『デイヴィッド・コパフィールド』の、何度目かの映画化らしいのですが、私は初見でした。

まず思ったのは、「天才手品師の?」っていう主人公の名前、そして「ユライア・ヒープ?」という登場人物と同じハードロックバンド。どちらもこの小説の人物の名前が由来となっているようです。

上がったりどん底だったりの主人公の人生だが、映画はコメディ要素を強めに出しているので、わりと明るい気持ちで映画は見ていられる。この小説は、ディケンズ自身の自伝的小説となっている。暗くつらい少年時代も、周囲の明るい登場人物が、物語にユーモアを与えているのだと思う。

私が感じた「2つの損」の一つ目はキャスティング。監督は「多彩なキャスティング」を目指したそうで、最初から主人公に、インド系のデヴ・パテルを考えていたそうで、それ以外にも、アフリカ系、アジア系がたくさん起用されていたので、私は見ていてびっくりした。「今どきのキャスティングだなあ」と思うし、そういう時代なんだなとおもうが、ちょっと「やりすぎ」の印象でした。主人公は別にして、せめて「親子は揃えて」ほしいなと思う。デヴィッドの学友スティアフォースとその母、大伯母友人の弁護士とその娘アグニス。両方とも黒人俳優にする、アジア系にする、みたいなこともできる映画なので、ちょっとチグハグな印象を感じてしまいました。

もうひとつ、最大の「損」は「邦題!!!!」。もう最近、邦題に愚痴ばかり言っている私だが、この邦題は私の中では★1もの。そりゃ日本ではディケンズの小説はそれほどポピュラーではないが、これはひど過ぎ。例えるなら、シェイクスピアの『ハムレット』に、「悲しみの復讐物語 王子は為すか為さぬのか」とか付けたり、横溝正史の『悪魔が来りて笛を吹く』を、「死を呼ぶフルートの旋律/消えた子爵と謎の紋章/東京ー淡路 殺人ルート」とか二時間ドラマみたいなタイトルにしたり、みたいな。

せめて『デヴィッドのどん底人生』とか、原題の欠片は残してほしかった。「作家としての人生」を描いたわけではないし。

演技としては、ユライア・ヒープ役のベン・ウィショウが一番印象に残りました。あと、主人公の母親役の女優さんは、婚約者ドーラとの二役だった。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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