[コメント] ロストケア(2023/日)
全ての告白を終えた彼は、その時はじめて理解者をみつけたように安心した瞳を見せた。
コロナ禍だ、台風だ、ともう何年も顔を出していない奥さんの両親が元気なうちに会っておかなければ、と強く思わされた。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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ヤングケアラー、老老介護、この国の高齢化社会はたくさんの弱者を見捨てながら前進している。
「ちょっとこれでは(生活保護は)受けつけられませんね」生活課窓口の女性は冷たく彼をあしらう。
「この社会には穴が空いている、って。一度でも落ちてしまったらこの穴から簡単には抜け出せない。穴の底で膝を折って手をついて家族を支えているとおかしくなってくるんです」彼は言う。
そして「僕は人を救ったんだ」とも。
確かに彼は人の道を踏み外したかもしれない。
頼まれてもいない人殺しを勝手に行った異常者かもしれない。
ただ、父の作った折り鶴の中に書かれた言葉を見て号泣する彼を、簡単に否定できようか。
彼に対して単なる大量殺人犯として(世間でなんの議論も行われず)簡単に完全悪・死刑囚とする判決が下るようなことがあれば、この国はもう病んでいる。
少なくとも本作品は何らかの問題提起をしている。
それを僕なりに考えた結論がこれだ。
脳死による臓器提供の意思を示せるドナーカードがあるのであれば、正常な判断能力があるうちに自らの意志で選択できる尊厳死・自らが望む安楽死も同じ要領で認めてほしい。
僕は自分の介護で誰かの人生や時間・お金を無駄にしてしまうのであれば、迷わず安楽死を望む。
安楽死が叶わないなら、彼・斯波さんに頼んで殺してもらいたい、と僕は思う。
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