[コメント] 家からの手紙(1976/ベルギー=仏)
序盤は道路。早朝か。画面中央から奥へ垂直に道路をとらえた固定ショットが続く。シンメトリーと云うほど厳格な構図では無いが、それに近いことは近い。しばらくして、道路に平行かつ画面奥に店舗など建物正面が映った固定ショットになる。通りに座っている人たちのカメラ目線も目立つ。が、このあたりまでは、人はまばらに映っているだけだ。
5番街だろうか、NYらしい通りの横断歩道を真正面に撮った固定ショットも出て来る。人通りが激しくなる。サブウェイのホームから、線路側の固定ショットやサブウェイの列車内、矢張り車両の真ん中で、隣の車両側に向けたカメラの固定ショットが来る。乗客のカメラ目線がかなり気になる。これらは、いくつかのパターンで何度か出てきて、結構長く感じてしまう。
中盤になって、パンも解禁される。サブウェイの構内に置いたカメラが、駅中のフィルム同時プリント店からホームへなど、360度近いパンをしたりもする。さらに、終盤近くから、乗り物に載せたカメラから撮った移動ショットも解禁され、走る車に載せたカメラからの横移動ショット(ロビー・ミューラーみたいなショット)や、電車の窓から撮った風景の移動ショットが繋がれる。地下鉄の駅3駅分ぐらいをワンカットで撮ったショットは流石に長いと思ったが。
そして、船上から撮った、ゆっくりと後退移動するショットが来る。最終的に霧に霞むマンハッタンの遠景が延々と映される。在りし日の、世界貿易センターのツインタワーが目立つ。海鳥の鳴き声と船のエンジン音。全編、音も氾濫する。冗長な部分はあるが、この船上のショットで、全編が非常にコントロールされた完全無欠な作品だったように感じられる。そう感じさせるところが上手い。アケルマンらしい。
#多くの人が知っている観光名所には、あえてカメラを向けていないのだと思う。セントラルパーク、エンパイヤーステート、自由の女神などは映らない。
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