[コメント] 小説家の映画(2022/韓国)
白黒で綴られる"行き詰った人たち”の「現実」に挟み込まれるカラー仕様の劇中映画が美しい。活動を休止していた女優キム・ミニが日頃散策していた公園で野の花や野草を積んでブーケを作る様子が映し出される。画面が放つ温もりが春の訪れを告げているようだ。
ホン・サンスの前作『あなたの顔の前に』(2021)で起用され"未来を失くした元女優”を好演したイ・ヘヨンが再び主役で起用されている。今度は執筆に行き詰っている小説家の役だ。小説家は休業中の女優を起用して映画を撮る。試写で映し出されるそのワンシーンからは多幸感があふれ出している。これは前作でホン・サンスが描いた創作者の「諦観」への(再びイ・ヘヨンへに託した)アンチ・アンサーとして作られた創作者の「再起」の物語なのだと思った。
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