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[コメント] 遠いところ(2022/日)

南国の湿気が吹き溜まったような路地奥にあるアオイ(花瀬琴音)母子の生活空間が物語のリアルを担保する。貧困と暴力に(抗うのではなく)耐える17歳に母親の姿は逞しくみえるが、沖縄社会に根差した公私の環境に起因する自尊心の低さの結果のようにもみえる。
ぽんしゅう

だから自尊心を取り戻しなさいと鼓舞して、アオイの自助(資質)努力に期待するのは、あまりにも酷だ。とはいえ、公助として機能すべき警察の対応は単眼的で高圧的な説教に域にとどまり、公的福祉機関の援助もまた真摯だが当事者の心に届ききらないという現実が作中で描かれる。この指摘は重要で深刻だ。一方、主人公の周りの男たちがみんな愚劣な卑怯者ばかりなのは、ちょと作為がすぎる気もした。

いずれにしろ、この報告(告発)映画によって私たちは、この「問題」のとば口に立たされたのだ。さて、沖縄の実情(貧困)に対して私たちはいったい何ができるのだろうか。

(評価:★4)

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