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[コメント] 福田村事件(2023/日)

加害側の動機が綿密に描かれるのが大いなる美点、恐怖は人を狂わせる。放心したような最初の婦人が忘れ難い。朝鮮飴売りの碧木愛莉が可哀想で真剣に腹が立った。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







佐伯俊道の傑作『少女暴行事件 赤い靴』で、井上麻衣の父は利根川の暇な貸ボート屋だった。田中麗奈の初期傑作『がんばっていきまっしょい』と併せて、静子造型の肉付けになっていると考えると面白い。ボート漕がれる側に回った朝鮮成金の娘は、自我の感じられない井上麻衣の生き写しのようだ、事件までは。

「木の葉のように揺れた」と云われる渡し舟上の地震がまるで撮れていない、殆ど撮る気がないのは、映画としてたいへん不足感がある。収束を任されるほど渡し舟が重視された作品なのだから。貧乏作だから仕方ないのだろうか。撮影所のプールと背景をつなぎ合わせるぐらい出来ただろうにと思うのだが。ここが撮れていれば、田中麗奈の顛末も印象が深まっただろうに。

並川市場事件(定州事件)、提岩里(ていがんり)事件と、学びのある作品でもあった。韓国朝鮮史について私は何を知っているだろうと反省させられた。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)jollyjoker[*]

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